5月:『見よ、それは極めて良かった。』(創世記 1:31)

 分厚い聖書の最初のページには、天地創造の物語が記させています。神様が6日間で世界を造り、7日目に休まれたという物語が元になって、現在の1週間のサイクルが創られました。

 神様は最初に闇の中から光を創り、混沌とした世界に秩序を与え、時間の流れを始められました。それから天地を造り、植物を創り、太陽と月と星を創り、生き物を創り、そして6日目の最後に、神様の姿に似せて人間を創られました。

 進化論などと対立するかのように言われる創造物語ですが、被造物が創られた順番は現在の科学的な諸説と矛盾しません。(太陽より先に地球の大地が創られていますが、これはかつて「天動説」が信じられていたためであると考えらます。)確かに何十億年という時間と「6日間」とは相容れませんが、これは、「24時間✕6」という現在の時間の区切り方ではなく、信仰的な時間の流れを指しているものだと思われます。当時の人々もそれほど非科学的であったとは思えません。

 創造物語で最も大切なのは、科学的な説明ではなく、神様がこの世界を愛しておられるという信仰的事実の解き明かしなのです。私達も自分で作ったものには愛着が出るものです。ましてや神様がご自分が創ったものに愛を注がれないなずがありません。全ての被造物には神様の愛が注がれているのです。もちろん私達人間にも、この上ない愛が注がれています。

 神様は全てのものを「良いもの」として創られました。私達は不完全で欠点の多いものですが、けれども根本的に神様に創られた良い存在なのです。そのことは、子どもたちを見ていると実感します。悪い子なんて、一人も居ません。たとえ叱られるようなことをしてしまっても、「ごめんなさい」と言えば仲直りして、再びお友達と仲良く笑顔で遊びます。先生達も、恐い顔で叱りながらも、「あなたは本当はとっても良い子なんだよ」というメッセージを子供たちに伝え続けています。

 春は、神様の愛を伝えるのにとても良い季節であるように思います。お庭にも町中にも、神様が創られたきれいな、素敵なもので一杯です。子どもたちは、いっぱいの愛に囲まれて日々を過ごしているのです。

4月:『神は愛です。』(ヨハネの手紙Ⅰ 4:16)

 チャプレンの藤原健久です。チャプレンとは「施設付き牧師」のことです。学校や病院等の施設で宗教活動を行う牧師を指します。私は、幼稚園の礼拝や宗教教育全般に携わっています。どうぞよろしくお願いします。

 生活表では毎月、その月の主題聖句を解説しています。今月は年度初めですので、年主題聖句と共に解説いたします。

 「平和」、私たちの世界で最も大切なものです。聖書では「シャローム」と言います。これは「みんなが幸せな状態」を指します。誰1人もれることなく全員が幸せな状態です。平和の実現のためには、一人ひとりを大切にすることから始めなければなりません。一人ひとりの幸せを積み上げながら作り上げていくのが、平和です。

 「愛」は、聖書で「アガペー」と言います。これは、神様が人を愛する愛を指します。神様は創造主、すべての物を創られた方です。神様は、創られたものを全て慈しみ、大切にされています。神様は、私たち一人ひとりに対して、その人にとって最も良い仕方で愛してくださいます。

 連日、世界では悲惨な暴力事件が起こり、多くの人々が傷ついています。この現実を前に、私たちは無力さを覚えます。けれども聖書では、平和は必ず実現すると約束しています。私たちが目の前の人を大切にし、やっさしい心を持ち、共に生きていく道を探し求めるとき、世界は平和の実現に向けて進み出します。愛こそが平和を作り出すのです。

 この愛こそ、私たちの保育の中心です。一人ひとりの子供を大切にし、この子にとって最も良い保育は何かを模索し、共に歩んでいこうとしています。先生も子供も、同じ「神様から愛されている子供」として、共にお祈りし、共に平和を求めてゆく、それが私たちの歩みです。

 新しい学年が始まりました。これからどんな出会いがあるのかワクワクしています。みんな共に、平和に向かって歩んでいきたいと思います。